富士フィルム X-SeriesのRAW現像 X-T10, X-Pro1

富士フィルム X-SeriesのRAW現像 X-T10, X-Pro1

富士フィルムのX-SeriesはJPEG撮って出し(カメラ内現像)が一番良い画が出るというのが通説になっていますが、果たしてRAW現像したものとどれだけの差異があるのかが購入前から気になっていました。
風景やスナップ写真の比較例はGoogle先生に聞くとそこそこ出てきますが、ポートレートでの比較例って海外も含めて以外に少なく自分が腹落ちするまでには至らなかったので暇に任せて比較してみました。

比較は下記の3パターン

  1. デフォルトパラメータでのカメラ内現像
  2. 純正の「RAW FILE CONVERTER EX 2.0 powered by SILKYPIX (フィルムシミュレーション対応版)」(RFC)
     富士フィルムが市川ラボラトリーに対してフィルムシュミレーションに関して限定的な情報を提供して、そのヒントを頼りに市川ラボラトリーが独力で開発し、富士フィルムが純正のお墨付きを与えた(ようなもん!?)。
    よってカメラ内現像と結果が同じにならないのは致し方なし。
  3. Adobe Photoshop Lightroom CC CR9.1.1(ARC)
    Adobeがいつものように独力で作成したプロファイルを富士フィルムに「どうよ?」って評価してもらって「いんじゃね」ってことでメーカー認定を受けたプロファイル(のようなもん!?)。
    よってカメラ内現像と結果が同じにならないのは致し方なし。

※ 当然ながら上記での現像において、3.ARCでのAdobe Standardからフィルムシュミレーションへのプロファイル変更以外、パラメータ変更、調整は行わずにPS CCへTIFFで渡してリサイズしています。

取り敢えずズラ~っと並べてみます。
知りたいのは肌色の表現がどれだけ違うかだったのですが、折角なので人物以外も比較してみます。
雑誌でやってるような等倍サイズでの評価は自分には無意味なので、実用的な「パッと見の印象」が分かるサイズで。

全て左から「1.カメラ内現像」→「2.RFC」→「3.ARC」
(画像をクリックすると大きい画像がポップアップします)

1. X-T10, PROVIA
HIKAKU12. X-T10, PROVIA
HIKAKU23. X-T10, PROVIA
HIKAKU34. X-T10, PROVIA
HIKAKU45. X-T10, ASTIA
HIKAKU56. X-T10, ASTIA
HIKAKU67. X-Pro1, ASTIA
HIKAKU78. X-Pro1, VELVIA
HIKAKU89. X-Pro1, PROVIA
HIKAKU910. X-Pro1, PROVIA
HIKAKU1011. X-Pro1, VELVIA
HIKAKU11
差が出る筈と思っていた肌の色合いに関しては思ったほどの差はありませんでした。
色によってそれなりの差はありますが、目くじらを立てて「ちっげ~よ!何なんだよ!」と騒ぐほどの差は自分の価値観では見出せませんでした。もっと大きいサイズで見ると線の太さや解像感で違いは見えますが、WWW掲載とA4までのプリントをターゲットとしたポトレにおいてはそれほど気にならないレベル。
逆に市川さんとAdobeさんが気合入れたはずの原色系の差が明確って「何だよ!?」って感じ。

ただ、デジタルになってからのカメラメーカーの責任範囲はフィルム時代とは異なり、カメラ単体だけではなく現像まで含めた一連のワークフローの提供とそれによるアウトプットの品質までだと思っており、そこから出てくるメーカーの主張を大切にするために純正現像ソフトを使いたいと思っている自分としては、「一発で合わせられる腕がないなら、キャリブレーションもできない背面の小っちゃいモニター見て現像し直しな!」ってスタンスは残念でなりません(世界一のカラーテクノロジーを持っている富士フィルムだけに)。

事業のバックグラウンドが著しく異なるキャノンやニコンのようにとは言わないまでも、せめてカメラ内現像でできる事だけをPCで出来るような富士フィルム純正現像ソフトウェアの提供を切に望みます(ニコンで言ったら"Picture Contorol Utility"のレベル)。
ここまで画像解析を含むテクノロジーが進化したら「持てるノウハウは門外不出だ!」と一生懸命に鎖国していても、いずれはどこかにリバースエンジニアリングされて高い精度でパクられちゃうのでしょうから、その前に難しいのは承知で特許と共にパッケージングして収益を確保する別のビジネスモデルを考案するのも企業としては一つの選択肢ではないだろうかと思うのですが。

だらだらと書き綴りましたが、要は「富士フィルムの色が大好きなんで”真の純正現像ツール”を出して下さい~!お願いします~!」ってことでした(^^ゞ

最後にPROVIAのデフォルトパラメータでの撮って出しと、その同時記録RAWファイルを著名なX-Photographerの一人であるDamien Lovegroveさんのお勧めパラメータでカメラ内現像し直した画の比較を。人によって感じ方は違うとは思いますがシャドートーン・マイナスの設定は必須のお約束事項ですね。
HIKAKU12

COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 4 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. 誰もが気になる検証ありがとうございますぅ
    ぅーん プロがどんなに頑張っても Raw現像で敵わないって言っていたのはいったい何だったのでしょうかぁ
    色んなシーンで見てもぉむしろ社外ソフトの色味が好きだったりしますぅ
    もしかするとぉ色被りの無い環境での撮影だと差が出るのかもしれません
    僕は基本的に素の色をそんなに重視していないのでぇいじらなくてもぃぃ環境で撮れたらなって思いますがぁ
    プロの世界でも単価が下がって現像に時間をかけられないのでぇ撮って出しが今のカメラメーカーに求められているのでしょうねぇ

    • >ちばっちさん、

      ありがとうございます。
      ホントに自分でも「!?」って結果でちょっとびっくりしました。
      確かに環境には大きく依存しますからベストなセッティングで撮った画ならもっと差が付くのでしょうね。
      まぁプロはデフォルトパラメータで使ってる人はいないので、実際には現像ソフトも含めて使いこなしが肝なんでしょうけど。
      ちばっちさんのカラーコントロールテクニックは真似できるものではない職人技なので羨望の眼差しになります~!!
      露出だけに限ればフィルム時代に職人技だった撮影が、今や液晶で確認しながらセッティングを詰めれば誰でも撮れるようになってプロには厳しい時代ですものね~、そう考えるとプロのニーズに合わせた撮って出しでベストが出せる(RAW現像しない人でも大きな失敗の少ない)カメラを作るってのは一理ありますね~。

  2. こんばんは~

    JPG撮って出しが必要なプロもいるし、RAW現像ありきの方もおられます。
    プロ機のD4のJPG画像が不評でD4Sで使えるレベルまで改善されたのも有名な話ですよねっ!

    私にとって、ニコン機で撮ると、液晶に表示される画像はイメージ画像に近く、Lrに取り込むと、イメージと違う画になるので、近づけるために現像作業をすすめることになります。^-^;
    (Presetをちゃんと準備すればよいのかも知れませんがぁ。。。)

    フジ機の場合は、液晶に表示される画はイメージとは違う場合が多いです。
    まだまだパラメーターの設定を詰めてないというか。。。
    フィルムシュミレーションもASTIAからPro Neg Stdに変えて、低コントラストで現像することが多いです。
    VELVIAが活かせるような撮影方法も身につけなくてはですねっ!

    以前にDamien LovegroveのYouTube動画を観て、フジ機の可能性を確信しましたっ(^_-)-☆

    • >舞珍さん、

      ありがとうございます。
      D4Sはホントに報道においては文句が出ないレベルまでJPEGのレベルを引き上げましたものね。

      LRで取り込む際にAdobeのデフォルトプロファイルを充てて、後から一括で別のプロファイルを充てると100%プレビューを作るのにまた時間がかかるので、私は取り込み時に必要なプロファイルを充てるようにしてます。

      た~しかに!!フジ機は液晶もそうですが特にEVFで見た絵が派手派手で、PCに取り込むと別の画になってますね(私は現像しててがっかりって事がよくあります)。
      その点Nikonは液晶で見る画がそのままPCに取り込まれているイメージなので、現像処理で確実に質が上がる感があると感じています。富士のPro NegStdはNikonのNutralに近いレタッチ耐性の高い素材を提供してくれますね。
      いずれにせよ現像の腕を磨いて使いこなさねばですね(^^ゞ

      私もDamien LovegroveのYouTube動画には結構影響を受けています。ホントはあれだけ素晴らしい画が出るカメラなんですよね。早くX-Pro2出て欲しいです~!(^^)!

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